NYC拠点の⽇本⼈シンガーがオフブロードウェイミュージカルに挑戦




異国の地、その中でも志の⾼い才能ある若者たちが世界中から集まるニューヨークで、外国⼈とし てミュージカルに出演することは並⼤抵の努⼒で成し遂げられるものではない。

SHOWJI(熊本翔⼠)、30歳。シンガー、俳優、そしてモデルとしてマルチに活動する在⽶歴7 年⽬の彼も、このニューヨークという街で懸命に⽣き抜くエネルギーに満ち溢れた若者の⼀⼈だ。 今回は8⽉5⽇(⼟)にオフブロードウェイで⾏われたミュージカル「At The Wave(アット・ ザ・ウェーブ)」に出演した彼の姿を追った。




キッズ向けのこのミュージカルは、sound wave(⾳波)、sound vibrations(⾳の揺れ)、 amplitude(⾳の振幅)、そしてfrequency(⾳の周波数)など、⼀⾒難しそうなアカデミックな 内容を⼦供達の⽬線に合わせわかりやすく説明しながら⾳楽サイエンスの⾯⽩さを伝えることを⽬的とした内容だ。

またその他にも、ひとりひとり異なる個性の素晴らしさも伝えるという多様性を尊重したプログラムとなっている。さらに今回のミュージカルには、ディスコミュージックに多⼤ な影響を与えた著名プロデューサー、パトリック・アダムス⽒も楽曲を提供しており、贅沢な楽曲 構成となっている。そのうちの1曲はSHOWJIのソロ曲だ。




SHOWJIはsound waves(⾳波)を伝える知識豊富で情報提供に⻑けた⻘年、Speedy(スピーデ ィ)の役を演じた。キッズからの声援やコメントに気さくに応じ、舞台から降りて直接⼦供達と触れ合うなど、彼本来の優しい⼈柄が垣間⾒られる場⾯もしばしば⾒られた。また90年代のR&Bを 彷彿させるソフトでビブラートのかかった⽢い声、そして⾒事な声量と流暢な英語の発⾳で様々な曲をスムースに歌い上げ、外国⼈であるというハンディキャップを感じさせないパフォーマンスを 披露した。

また公演中の度重なるサウンドシステムの不具合にも関わらず、アカペラパフォーマン スやアドリブで臨機応変に会場を盛り上げるなど、SHOWJIを始めとするキャストたちの柔軟性の ある演技で会場は終始笑顔と笑いに包まれていた。




今回「At The Wave(アット・ザ・ウェーブ)」で堂々とした演技を披露したSHOWJIだが、ここ まで登り詰めるまでには⻑い年⽉がかかった。

SHOWJIは福岡県出⾝、⽇系アメリカ⼈の親戚を持 つという背景から、幼い頃から常にアメリカへの興味と憧れを抱いていた。18歳の頃に地元の仲間 と共にMutenkaというダンスチームを結成し4年間福岡各地で精⼒的に活動を⾏ったのちシンガー を志すも、きちんとしたヴォーカルトレーニングを受ける機会に恵まれず、アメリカに住む⽇系ア メリカ⼈の親戚を頼りに2010年に単⾝渡⽶した。

渡⽶後は語学を勉強する傍らゴスペル合唱団にも参加し、地道にシンガーとしての活動・トレー ニングを続けながら遂に2015年アーティストの登⻯⾨として有名なアポロシアターにソロリスト としての出場チャンスを獲得した。また今年初めにはマクドナルドゴスペルフェスティバルに2万 ⼈の中からファイナリストとして選出され、有名なテレビ局BET TVの番組に出演するという快挙 まで成し遂げた。




着々とシンガーとしてのキャリアを積み重ねているSHOWJIだが、英語の発⾳矯正には特に苦労 したと⾔う。ニューヨークで初めて⼈前で歌ったステージでは、どのキーで歌いたいのか、どれく らいのテンポで歌いたいのかなど、拙い英語のためにバックバンドとのコミュニケーションすら取 れなかった。また強い訛りがあったため、観客からは真似をされたり嘲笑されたり、帰り道で⼤泣 きするほどの悔しい経験もあったと⾔う。

しかしその後SHOWJIは発声⽅法を矯正するレッスンを スタートし、「訛りのある英語」というハンディキャップを徐々に克服していった。今では毎⽇の発声練習は⽋かさないと⾔う彼だが、最近は少しずつ観客の反応が変化してきていることを肌で感じると⾔う。「すでに⾃分を知っている⼈からのサポートは勿論ありがたいことだが、まだ⾃分の ことを知らない⼈、⾃分のことをよく思っていない⼈までも感動させるようになりたい。その為に は発声⽅法と発⾳の矯正は必要不可⽋なものだ」と彼は語る。

今回のオフブロードウェイミュージカル「At The Wave(アット・ザ・ウェーブ)」は、Brooklyn Academy of Music (ブルックリンアカデミーオブミュージック、通称BAM)での成功の後、全 ⽶各地の公⽴学校やミュージックセンターなどでツアー公演を納め、またエミー賞を受賞したブル ックリンのケーブルテレビ局、BRIC TVにてテレビシリーズ「Meet me at the wave(ミート・ミ ー・アット・ザ・ウェーブ)」として毎週放映されている。




SHOWJIはこのテレビシリーズで活躍する傍ら、ニューヨーク市内でオープンマイクからプライベートパーティまで多岐にわたる場所で シンガーとしての活動も精⼒的に続けている。またシンガーとしてだけでなく、俳優、モデルとし ても今後もあらゆるチャンスを掴んでいきたいと語ってくれた。今後もシンガー、俳優、そしてモ デルと3つの顔をもつ彼の動向に注⽬していきたい。

ライター:森⽥愛⼦

   


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